小児歯科
歯医者さんに行くべきサイン
まず、お子さまを歯医者さんに連れていく時はどんな時でしょうか?虫歯や、歯並び・噛み合わせ、指しゃぶり、学校健診での指摘で連れていく親御さんが多いかと思います。
しかし実は、これ以外にも歯医者さんに行くべき「サイン」が多く隠れてたりします。
意外な「お口のサイン」
- 食べこぼしが多い
- くちゃくちゃ食べる・食べるのが遅い
- お口がポカンと開いている
- 発音が気になる
- 好き嫌いが多い
これらも、そのままだと将来歯並びが悪くなったり、虫歯になりやすくなったりする立派な「サイン」です。
食事の際のつまづきや、言葉のつまづきがありましたら、ぜひ小児歯科を標榜している歯科医院にご相談ください。
お口の成長を助ける8つのポイント
お子様のお口の発達を促すために、ご家庭でできることをご紹介します。
【赤ちゃん期】0歳〜1歳頃
【幼児期】2歳〜6歳頃
8つのポイントのうち、気になった項目に飛んでまずは読んでみてください。そして、他も気になればお時間がある時で良いので、目を通してみてください。結局はどの年齢でもそれぞれのポイントがリンクしていますので、思い立つものはあるかと思います。
【赤ちゃん期】具体的なアドバイス
⑴母乳・哺乳瓶は「深飲み」させる
なぜ深飲みが大切?
哺乳に関しては、産婦人科や助産師のアドバイスを優先されてもらっても構いません。歯科医としては口の機能という観点からの哺乳のポイントをお伝えします。
浅く飲んでいると、唇の筋肉を使わないため、お口ポカンなどが残りやすいです補助機は基本おすすめできません。今は楽でも、後で離乳食で苦戦することが多いです。
乳首が見えないくらいまでの深飲みができる姿勢を探してみましょう。(例:https://www3.dental-plaza.com/archives/5239)
おすすめの哺乳瓶
きちんと顔の筋肉を使って噛んで飲めるビーンスタークという歯科医師監修の哺乳瓶がおすすめと言われています。
ただしいきなりビーンスタークでは飲まない子供もいますので、少しずつトライするのがおすすめです。外に出ている時や夜泣きなど早く済ませたいときや、汗をかいてしまう夏の場合は、逆にピジョンなどの普通の哺乳瓶のほうが良いかと思います。
遊び飲みへの対応
3か月からの哺乳はコミュニケーションの要素を含んだ哺乳となり、遊び飲みが始まります。生後4〜5ヶ月から運動、食事、寝るというサイクルを徹底していかないといけません。(お母さんの体力がより必要になってくる時期です。)
途中で休んだりしたら(遊び飲み)、ゆすったりさすったりして反応してあげましょう。ここで哺乳を止めたりしたらお腹空いて、泣いて寝なかったり、すぐ起きたりします。
遊び飲みしてる最中に無理やり飲ませようとしても、自分のペースで飲めないからストレスになりやすいので注意してください。
離乳食スタート時の3つのポイント
- スプーンは下唇に乗せて動かさない
- 上の唇で捕まえるのを待つ
- お母さんからスプーンを離さない(※スプーンの角度は水平を意識)
哺乳瓶と同じで、角度つけると下顎が前に出やすくなります。早く食べさせようとすると角度がつきやすいです。そのまま、上の唇を使えてないと、太く長い上唇小体(上の顎の前歯の中央にあるスジのこと)が残ったままとなります。元々は乳首を上手に抑えるためにあるものです。
離乳始めると消えていくはずですが、残ってしまうと大人の歯に生え変わった時に正中離開という大人のすきっ歯の原因になりやすいです。
⑵抱っこ・寝かせ方は「Cカーブ」を意識
お腹の中の姿勢を再現しよう
お腹にいる時の姿勢を維持する事が大切です。抱っこ紐を活用するのであれば、お母さんが下を向いたら赤ちゃんのおでこにキスできるくらいの高い位置を意識すると、ベストな姿勢に赤ちゃんがなるはずです。
また、後ろに頭が下がった姿勢が多いと、下の顎が後ろのままの位置で固まってしまい、お口ポカンが残ってしまって、口呼吸や歯列不正などの原因になりやすいです。
ベビーカーの注意点
ベビーカーにも注意点はあります。
ベビーカーの注意事項をみると寝かせた姿勢では2時間以内、座らせた姿勢では1時間以内で休憩をとることをお勧めします。ベビーカーから降りて休憩してる合間に遊ばせてあげると、お腹も空きやすいので飲食が進みやすいです。
⑶立つ前にたっぷりハイハイさせる
ハイハイが大切な理由
すぐに子供が立つと親御さんとしてはとても嬉しいものだと思います。ただ立つ前にズリバイとハイハイがどれだけできたかが、その後の成長だけでなく離乳にも大事になります。
ズリバイやハイハイは、首から背中(体幹)、そして手(末梢)に筋肉や神経が発達していく行いです。その機会が少ないと、首が安定せず転びやすいです。また、手が発達してないと転んだ時に手をつけれません。(※「発達」とは、運動能力や言語能力、精神的な成熟などの機能的な成長を指します。)
年齢が上がって突然できるようになることではなく、積み重ねてトレーニングをしてできるようになっていくものです。年齢とともに変化する身長などや歯の生え変わりのような「発育」とは別です。
ハイハイと噛む力の関係
また、ズリバイやハイハイをしながら、実は噛むための準備も始めてます。(試しに、口開けてズリバイはやってみるとだいぶやりづらいはずです)つまり全身運動と口腔内の運動が一致してくる要素ので、食事指導だけではなくて全身を使う指導の両方を行っていく事が大事になっていきます。
また、歩行器は使わない方がおすすめです。理由は、「正しく」転べないためです。転ぶ事は心配になるものですが、正しく学ばないと、成長した後で転倒からの大怪我のリスクがあります。
ハイハイ不足の場合は
いずれにせよハイハイ不足だと頭と首が安定していないです。すると重心が後ろになってしまい、後ろにも倒れやすくなります。口腔内は下の顎が後ろのままの位置で固まってしまい、お口ポカンが残ってしまって、口呼吸や歯列不正などの原因になりやすいです。
仮にハイハイ不足のまま立ったり歩いたりしたとしたら、児童館やお家でトンネルのようなものを潜らせる遊びや、足を持ってお馬ごっこのようなものを取り入れてハイハイの形を増やしてみてください。
子供は通常だと立って歩く方が景色がよく見えるため、ハイハイはただやってねと言われるだけでは、してくれないことが多いです。
⑷手づかみ食べ・
なんでも口に入れるを見守る
なぜ口に入れたがるの?
そもそもなぜ子供は口の中に色々入れるのでしょうか?
答えは
- 口の中の過敏をとっていく
- 口と手の感覚統合をすすめる
などの理由のためです。(※「感覚統合」とは・五感(触覚、視覚、聴覚、嗅覚、味覚)・固有覚(体のイメージや力加減を感じる感覚)・前庭覚(平衡感覚)
以上の感覚を整理、統合し、適切な行動や反応を組み立てる脳のプロセスです。)
目の焦点がまだ定まってない赤ちゃんは手や口の触覚から、主に情報を取り入れてます。また、赤ちゃんは防御反応が強い状態で生まれてくるので、色んな部分の感覚が過敏です。
上記のようなメカニズムがあるため、実は汚いから触らせないとかは控えた方が良く、欲しがる刺激は与えないといけません。赤ちゃんは、手で触った感覚を口に入れて確認し、そして暑い冷たい固い柔らかいといった感覚を覚えていきます。
また、焦点が合わない月齢の子はこうやって触ることで、認知が進んでいくので、言葉の発達にも影響していきます。手で触った感覚と、口の中に入れた感覚と、目で見たものを、脳でたくさん処理をしていき、反応を繰り返して、物事を理解して言葉を覚えていきます。
それが不十分だと目で直接見なければ安心が出来ずに、例えばお片付けの時に、おもちゃ箱投げて壊してしまったり、歯科医院でも診療室のドアを強く閉めてしまったりなどが見受けられます。
目の発達が進んできたお子さんへの
アプローチについて
目の発達が進み、焦点が定まってくると、例えば遠くのものを「車だ!」「飛行機だ!」と、子供は話しかけてくると思います。これも実はとても大事な認知の作業です。
例えば車に乗ってる時に大人しくしてもらうためにDVDを見せるとかではなく、「男の人が通ったら教えてね」、「車のナンバープレートで3が入ってたら教えてね」など、話を広げるのがベストです。その動作が3歳であれば適齢ですが、6歳であれば不安要素となります。
また、認知が弱いと、子供は色々喋ってないと不安になりやすいです。6歳になって小学校始まると、静かにしてないといけないので、座ってるのが非常にストレスに感じます。
話を戻すと、口の過敏が取れない場合、歯ブラシや食べ物の味ではなく、食感で嫌いな食べ物が多くなっていく傾向にあります。離乳食も進みづらいです。その場合は歯ブラシ自体の指導より、砂場行って外遊びをしたり、親御さんがご飯を食べている時、熱かったりしなければ触らせてあげてください。
歯科医院でもたまに、診療チェアの水を触ってしまう子は、目で見ても水が水とわからないため、触って確認して安心しようとしています。(感覚統合がうまくいっていない)これも3歳なら対応によっては発達していきますが、6歳であると不安要素となってしまいます。
手掴み食べによる感覚への刺激について
手掴み食べをどんどんさせて触覚を刺激させましょう。たまにスプーンやフォーク使うもいいですが、それだけだと覚えきれない感触もあります。あと最初は詰め込んだりしますが、徐々に一口量や声かけによって食べるリズムが備わってきます。
また、しいたけや厚揚げが苦手な子供はジュワッと出る食感自体が苦手だったりします。納得するまで触らせたり、水を含ませたスポンジを触らせたりすると理解していきます。とはいえ触って慣れさせたいけど、汚く見えるものを触らせるのはやはり気になるとは思います。
例えばごぼうや白菜の白い茎の部分を、沸騰したお湯でさっと煮沸消毒し、冷めたら子供に与えてあげると、口や手の触覚を刺激してくれます。硬い状態だと、3歳では飲み込まないし咬みきれないので、安心です。もちろん普通の歯固めやおもちゃやリモコンなども良いです。
砂遊び、水遊び、虫を触るなどが本当は望ましいですが、お父さんのヒゲジョリジョリや葉っぱ、新聞紙を破いたもの(お子さんの目の前でやるのが尚良い)を頭からかけてあげる遊びもとても刺激になります。そのままだといわゆる、猫舌(医学的病名はない)にもなりやすいです。
熱いものを感じにくい舌の場所に、食べ物を持って来れなかったり、手で触ったりして認知していない状態なので、いきなり口の中に入れてしまう傾向があるためです。
(例:https://hicbc.com/magazine/article/?id=chant-special-column-23120101)定型発達の子供に対する選択肢を使った声かけについて
また少し脱線しますが、歯ブラシが本当はできる定型発達の子供で、お母さんが「歯ブラシする?しない?」との問いには「しない」とお子様が答えるシーンがあります。そこで「何味の歯磨き粉にする?」と聞くと「歯ブラシをしない」という選択肢が自動で消えます。
また例えば、いちご味の歯磨き粉が好きで、毎回同じものだけを買うのも良いですが、使わないけどぶどう味、りんご味の歯磨き粉も用意して、選ばせるほうがスムーズに歯磨きしてくれます。いちご味のみだと、答えが「する」「しない」になりがちです。
歯ブラシも同じで「何色にする?」「トーマスの柄にする?ちいかわの柄にする?」「お父さんが磨く?お母さんが磨く?2人がいい?」と発展させれたり、「服着なさい」→「嫌!」となるのも、「シャツから着る?ズボンから履く?」等、何個か用意してあげるとスムーズに進む事が多いです。
ただし、これはあくまで定型発達の子供に対する対応で、感覚統合がうまくいってない感覚過敏傾向の子は、同じ選択しかしない特徴があります。(穴が空いても同じシャツを着る、歯ブラシがバサバサになっても同じもの使う等)
赤ちゃんは元々、口の中や皮膚感覚が過敏傾向にありますが、それが残ってしまうとそのような特徴となってしまいます。歯科関係者は、バサバサしたら歯ブラシを交換するという通常の対応ではなく、「家でちょっとやってほしい事があります。」といったアプローチのほうが正しい場合があります。
【幼児期】具体的なアドバイス
まず、⑸〜⑺は食育とも呼ばれ、取り組むのが早ければ早いほど、理想的な口腔内環境になりやすいです。
子供の理想的な口腔内環境とは
- すきっ歯であること(発育空隙、霊長空隙とも言います。大人の歯がしっかり生えるスペースのために必要)
- 過蓋咬合、反対咬合(受け口)、交叉咬合でない
- 正中のズレがない
- 上唇上帯(唇と歯茎を結ぶヒダ)、舌小帯(舌と口腔底を結ぶヒダ)
⑸前歯でかぶりつく食べ物を
実際には全員の子が矯正をしなくて済むわけではないですが、矯正をするにしても装置を最大限活かせるような口腔内にすることが可能です。柔らかくてもいいので、前歯でガブっとかぶりつく食べ物が良いです。
かぶりつける食べ物
- 骨付きのチキン
- ロースではなくヒレカツ
- アイスではなくガリガリくんなど
- 季節ものも取り入れる(トウモロコシやスイカ、バナナを切らずにあげる)
- カレーの具は大きく、サラダはザクギリ
あとは食感が混ざってるものもいいです。
食感が混ざっている食べ物
- ノリで巻いたおにぎり(朝はパンよりはおにぎりがいい)
- ごまやふりかけをかける
- きのことか小松菜などを主食にまぜる
- アスパラベーコン巻き、ピーマン肉詰めなど
これらは日常の中でなんとなく気にしてるとレシピや食材も思いついてくると思います。全部をそうするのではなくて、例えば一品だけ唐揚げの代わりに変えてみるとか、嫌いなものは避けるか、食材の中に混ぜるくらいでいいと思います。
フランスパンやスルメ、せんべいなどの硬すぎる食べ物は、意外に歯が抜ける力になるので避けてください。口の中で固まってしまうような食材は詰まる原因になるので避けてください。継続が大事です。
そして「前歯で噛もうね」と言い続けるのも大事ですが、なにより「何も言わなくても前歯で噛まざるを得ない環境にしておく」ほうがお母さんも楽だと思います。これにより、歯根膜が刺激され骨の成長が促進され、すきっ歯が出てきます。(6、7歳くらいまでがそのチャンスです。)
「食べやすい事が、良い食事では決してないこと」を、この時期では把握しておく必要があります。
⑹食事中の水は控える
「よく噛んで」とみなさんは学校や自分の親に言われてきたと思います。30回と数も言われたこともあるかと思いますが、実際は食材によって該当する回数は変わります。それよりは流し込み食べをしないように、食事中の水は避けるか、味噌汁やスープだけにする、とすれば、お子様はご自身で食べ物を噛んでくれます。
時間がかかったり嫌がったり最初はあるかと思いますが、段々慣れてくると思います。口腔内の機能を使えば、骨や歯も発達していくので適切な歯並びになりやすいです。(これも6、7歳くらいまでがそのチャンスです。)
⑺足の裏がつく椅子で食事
赤ちゃんの時の⑶と関連はありますが、しっかり足の裏をつけていると、首や頭(体幹)が安定して食べやすくなります。(猫背や、首を振りながらご飯を試しに食べてみると非常に噛みづらいです。)
もしくは足の下にダンボールなどを置いたり、椅子の後ろの部分を少し浮かせる板を置いたりすると猫背は解消されます。食事前はお菓子はできたら控えて、思いっきり体を使った遊びで気持ちよく疲れてもらい、食事中は、TVは消すか、正面に置いて、おもちゃは片付けておくと生活にもメリハリがつきます。
結局食べ物の好き嫌いが多かったり、食べること自体に興味があまりない子の中にはこのようなことが原因だったりもするので、トライしてみてください。
⑻体幹を使う遊び・外遊びを増やす
アナログ遊びで感覚を育てる
⑶や⑺の延長ですが、アナログの遊びによって子供の感覚は成長していきます。公園の遊具もジャングルジムなどが本来は体幹を鍛えるには、ベストです。滑り台逆走は違う刺激を子供が欲しがってるサインで決してふざけてるだけではないです。
ジャングルジムは撤去されてることも多く、怪我な心配も確かにあるのですが、バランス感覚をかなり鍛えてくれます。なのでお立ち台や、お馬さんごっこなど、バランス感覚が必要な遊びをどんどんさせてあげてください。
室内遊びのおすすめ
真夏や真冬は室内での遊びも多いかと思います。その時は、紙で塗り絵をしたり、鉛筆、クレヨンを使うのがお勧めです。また絵本を読んだりも大事な感覚を与えてくれます。
紙質、厚さ、重さ、鉛筆の書きこごち、クレヨンの書き心地、色味など全部違う情報を一気に与えてくれるからです。iPadなどのタブレットは画面の手触りでしか情報がなく、触覚刺激としては足りないことになります。
以上が歯科医師という立場から言える、おすすめのお子様との接し方です。かなりのボリュームだったとも思いますが、流し見でもいいので何回も見返し、実践してを繰り返すことによって、「感覚統合が大事なんだ」、「子供の口腔機能の向上はこれがコツなんだ」とわかってくると思います。
意外と難しくないものもあって、普段のおかずを前歯でかぶりつくものにすれば良いだけだったり実践の際はそこまで考えすぎず、試してみると取り入れやすいと思います。また、実際の個別対応や変化の度合いは歯科医院に行かないとわかりません。何か気になる点があればぜひ一度診せていただけますと幸いです。
よくある質問
Q:指しゃぶりが心配です
A:上記に挙げたやり方をトライし続けると自然にやめていきます。学校の健診でも言われるかもしれませんが、3〜4歳までは気にしなくて良いです。指しゃぶりがなくなれば、あとで歯並びも回復していきます。自己表現として指しゃぶりなどをしてるだけですので、苦い味のものを指につけるなどは、内向的な性格が変わってしまったり、代償行為として頭を掻きむしったりなどの、他の特殊な行動に切り替わるだけなので避けた方が無難です。
(例:https://www.jspd.or.jp/question/until_school/)Q:離乳食はいつから始めるべき?
A:歯が生えた生えない、が基準ではないです。(その基準だと個人差がかなりあることになります。)
答えは、
- 年齢ではなく首がすわっているかどうか→はいはいができたら開始
- 口の中に物を入れ始める意欲がわくかどうか?
上記の二つです。つまり、生活リズムを作っていく必要がこのくらいの時期から出てきます。(起きる→食べる→寝る→動く→お腹空く→食べるのサイクル)
※参考:口腔機能発達不全症の離乳完了前
・C-7 開始しているが首の据わりが確認できない
・C-8 スプーンを舌で押し出す状態が見られる
Q:好き嫌いはどのくらいが心配?
A:どちらも、目標は同じで、「みんなで同じものを・同じ時間に・同じ量を食べる給食で困らないのが、食べる機能の最低ライン」と考えれます。給食はその道のプロが、かなり計算されて作られてる栄養食であるためです。給食で月に2回くらい嫌いなものがある場合は◯と判断し、1週間に1回くらいは△、2〜3日に1回は不安要素があるかもと捉えて良いかと思います。
Q:よだれが多いのは大丈夫?
A:離乳食始めようとするときのよだれは食べようとする気持ちの現れです。そもそも、赤ちゃんの食べ物の飲み込み方(乳児型嚥下)の際にはくちびるが閉じてないのが特徴です。母乳をしっかり咥えるようにするためです。なので1歳半だとまだ、よだれかけ使ってるのが実は正解です。
よだれが出てない子は低緊張で食べる意欲がない、口の発達が弱い可能性があり、親御さんに細かく聞くと、離乳の進み方が良くないサインが見受けられたりします。逆に3〜4歳でもよだれが出続けているのは、口が閉じる飲み込み方(成人型嚥下)ができていないため、心配かなと捉える事ができます。
Q:飲み物の飲み方で気をつけることは?
A:すすり飲みを覚えましょう。外出時や夏はストローのほうが安全なため良いですが、すすり飲みができてないままだと天井を向いて飲むようになります。
そのため給食のミルクをいつもこぼしてたり(ストロータイプのパックだとしても)服についたままの場合が多いです。
Q:実践してみたけどうまくいきません
A:実際やらせてみるとバナナは放り投げたり、コップの水はこぼしたりすることが特に最初はあると思います。しかも、しっかり口を使わないといけなくなるので食べたり飲む時間が遅くなったりします。
歯医者に言われたものの、さらに面倒なことになって、元の楽なやり方に戻したくなる気持ちが出ると思います。そこはグッと堪えて、食事はトレーニングでもあるという意識を思い出していただけたら、後でずっと楽になります。結局赤ちゃんの時の食べ方や認知が残ったままの状態なので、その定型発達の遅れを取り戻すのに1年くらいかかってしまうお子様もいます。
あとは、なんでバナナを投げるんだろう?→おもちゃをひっくり返しちゃう例を思い出す。
なんでコップの水をこぼしたりしちゃうんだろう?→歯科医院の椅子の水の中に手をかざしたりする例を思い出す。
これらは認知が不足しているためですつまり
- 手の触覚発達の不足
- 口の過敏の減退の不足
- 視覚情報の発達の不足
と連想し、では体幹も立ち直って鍛える必要があるか?手掴み食べや外遊びは?お腹空かせれてる空かせれてない?などピンポイントで対処するのではなく、総合的に色々やらせてみて、徐々に進めていくしかありません。※「定型発達」とは身体的、認知的、社会的、感情的な発達が年齢相応に進行していることをいいます。
発達の順番は決まっていて、必要なことができてくると次の段階に行けます。積み重ねて進むため、ショートカットして発達したりすることはありません。知育によって育む事もできます。
Q:それでもついていけない子もいるのではないか?
A:実は仰る通りです。この辺りの話は、「歯科医院で指導を受けてもらい、あとは家で色々やってみてください」というスタンスを大事にしています。更なる個別介入も良いですが、特に離乳食に関しては、偏食という形の相談が多いです。医科で病名がついたり、つかないけどグレーの子供達は偏食が出る傾向にあります。
5歳前後、日本の医科で診断が出るケースが多く、歯科医師は診断ができません。どこまで対応するのか、かなり難しいです。後で医科から診断がつく子は、食事指導を受けてたり、毎日の歯ブラシを強く指導しても、苦しい思いをするだけだったりします。
※偏食外来は医科の分野
(例:https://kanagawa-syounihokenkyoukai.jp/pamphlet/)Q:離乳中期〜後期の注意点はありますか?この辺りから悩んできてます。
A:仰る通りで、この辺り(1歳前後)から食のつまづきが発生してくる方は多いです。結論から言うと「間食を食べずに済むように、遊びの時は疲れるくらいしっかり動かしてあげる。」です。理由としては、お母さんの職場復帰や第二子の誕生の時期がちょうど重ねってくることも関係しています。
まず食べてもらうのに大事なのは、生活リズムを作ることです。
- 朝起きて、ご飯を食べる
- 遊ぶ、ご飯を食べる
- お腹がいっぱいになったので、昼寝をする
- 起きる。遊ぶ。ご飯を食べる(お腹が空いてるので苦手なものも手を出し始める)
- お腹がいっぱいになったのですぐ寝る
ができるようになるかどうかです。間にお菓子食べるとお腹いっぱい、ではなくて血糖値上がって満腹感が出るだけ。ご飯食べない、好きなものしか食べない、好き嫌い多くなる夜眠れない、朝弱いお菓子を食べたりもしないから虫歯にもなりづらいです。お菓子は食べるけど、メインの料理は食べない子となりやすいです。
そのまま、6歳になって小学校に入っても同じ場合、給食の時間では認知も弱いため、触ってから食べるを繰り返してたら食べる時間も間に合わないです。矯正して噛み合わせ良くなったから、給食が食べれるとかではないということを知っておく必要があります。給食量減らす行為は、避けれるのが一番です。
最悪小学校の時は、早く帰って家で食べるためまだいいですが、中学生の時は部活のタイミングお腹減る形になるので、自己防衛反応で運動系の部活行かなくなる可能性があります。塾行く時にコンビニでなんか買わずにはいられなくなり、久しぶりに歯医者に行くと虫歯を指摘されてしまうなどがあります。
そこから間食やお菓子をやめさせようとしても難しいです。本当の問題は昼食べれないことにあるからです。やはりもっと早くからの改善が望ましいケースです。
Q:年齢によっての対応がわからない
A:正直年齢ごとに微妙に対応が変わるので、一度ご相談していただけたら一番ですが、年齢によってはバナナやみかんの剥くのも自分でやらせてあげたり、皮をしばらく触らせてあげるのも良いことです。卵も最初は割るところだけ手伝ってもらい、徐々に煮卵の殻を剥く手伝いだけをさせたりして、触って覚えてを繰り返せば、認知できるので、給食時間中に煮卵を喉に詰まらせてしまうなどの事故を防げる要因の一つになるはずです。
Q:あいうべ体操ではダメ?
A:だめではないですが、ピンポイントでトレーニングするより、食育や感覚統合を巻き込んでトレーニングしていくほうが、感覚全体の底上げしやすいです。舌の動きの悪さが発達不全のサインの一つになります。小児矯正器具もそれを基準にしていくことがあります。
ただ舌の動きの悪さはあくまでサインの一つ。サインの一つをピンポイントで解決しようとしても、もっと大元の部分は変わりにくい傾向にあると考えています。
お子さまの歯科治療を
検討されている親御さまへ
初めての歯科医院は、お子さまにとってとても大切な経験です。当院では、いきなり治療を始めず、まずは診療室の雰囲気に慣れてもらうことから始めます。親御さまとも連携を取りながら、お子さまの心と身体の成長に合わせたサポートを行ってまいりますので、安心してご来院ください。
小児歯科について
当院の小児歯科
お子様は歯だけをみればよいのか?もちろんそうではありません。
かみ合わせや歯並びが気になる方もいれば、指しゃぶりなどの悪習癖が気になる、食べ物の好き嫌いが激しいなど親御様から見ても心配だな、気になるなという点は虫歯だけではないことが多いです。
当院ではMFT(Myofunctional Therapy)いわゆる口腔筋機能療法の治療も積極的に行っております。
MFTとは
MFTは、お子様の成長期に口周りの筋肉を正しく機能させるためのトレーニングです。 これにより、噛み合わせや歯並びの改善、正しい呼吸を成長とともに獲得するのを目指します。
近年、注目されてる口腔機能発達不全症は、話す機能や食べる機能などが正常に発達してない口腔内の状態の事を指します。
現代人は生活習慣が変わり、お子様の子育ての仕方に変化が起きてる時代です。
当院では感覚統合の分野まで立ち返り、対応していくことを重視しております。
早期発見・早期治療により、改善を見込める分野ではあるので、矯正治療が必要な子も多い中で、矯正以外のアプローチができるというのがMFTの良いところです。
食育や感覚統合について
当院では食育というアプローチについても力を入れています。
食育とは、「食に関する知識と選択する力を身につけ、健全な食生活を実現する」ことを目的としています。※農林水産省ホームページより
栄養バランスの取れた食事の知識、食材や食文化への理解、調理技術、食事のマナーの習得が当てはまります。ではなぜ、歯科領域の中でもそのアプローチが必要となってきてるのでしょうか?
食育で大切なこと
図1では、健全な「食育」を推進していく上で具体的に考えていかなければならない重要なポイントを示しています。
その中で、緑色で示している部分は歯科に関係しており、かなり多分野に関与しています。
「食育」における究極の目標である生涯おいしく楽しく食べるためにも、歯と口腔は欠くことができない重要な役割を担っており、その健康と機能獲得の基礎は、小児期に形作られているのです。
口腔機能発達不全症について
口腔機能発達不全症という、2018年に保険適用になった新しい歯科の病名があります。
これは18歳未満の子どもで、生まれつきの障害がないにも関わらず、食べる、話すなどのお口の機能が十分に発達していない状態を言います。最近の調査では、10代の半分近くが口腔機能発達不全症の疑いのある症状を経験しているという結果が出ています。
その背景に、軟らかくてあまり噛まなくても飲み込める食べ物が好まれ、噛む力が発達しないということも言われています。
その他の不安要素
また、感覚統合の観点からも、昨今では心配な要素があります。感覚統合とは、視覚、聴覚、触覚、前庭覚(体の動きや傾きを感じる感覚)、固有受容覚(体の位置や筋肉の動きを感じる感覚)といった脳に入る様々な感覚情報を、脳が効率的に整理・統合する働きです。わかりやすくいうと平衡感覚やバランス感覚などのことです。
小児期では感覚統合を養うことで、本当の意味で楽しく食べ物を食べたり、正しい刺激が加わることで顎骨の成長を本来の軌道に沿って進めることが可能なのです。
しかし現代における育児の難化(核家族化)やデジタル製品(スマホによる子守子など)の普及、危険な遊具の撤去(公園のジャングルジム等)、温暖化などによる外遊びの機会の減少によって、それら感覚が育たないまま年を重ねる子が増えてきてしまってるのが現状です。
本来、人間の体は、他の動物と同じで自然のなかで生きるために作られています。急成長した現代の環境と、1万年前から基本的に何も変わってない人の体の成長プロセスのミスマッチが、口腔機能発達不全症という新たな病名を生み出してしまったのです。
では具体的に何が問題なのでしょうか?
具体的な問題点
歯並びの悪化、顎の骨の成長不足、姿勢の悪化、言葉の発音の不明瞭さなど、全身の健康や成長に将来的に悪影響を及ぼす可能性があります。
また噛み合わせが悪い傾向が高いので、ある種類の食べ物が食べにくかったり、食感の苦手さから好き嫌いの増加につながります。
今でもたまにニュースで見る、痛ましい事故があります。給食の食材を喉に詰まらせてしまう事故です。
一般の方は、このニュースを見て食材がいけないと給食から取り除く運動をよく耳にすると思います。
もちろん食材が悪かったり調理の問題、スタッフの管理の問題等、様々な考えるべき項目はあります。
しかしそのサイクルの果ては、ミキサー食のような何も食べる楽しみのない、流動食のみとなってしまい、またそれしか食べられないような口腔内環境の子が増えていくという結末が容易に想像できてしまいます。
我々歯科医師は、小児歯科を標榜してるのであれば、このような痛ましい事故を未然に防げるような口腔内環境に誘導させる必要があるのです。
ではどのようにして考えるべきなのでしょうか
お口の二大機能『食べる機能』『話す機能』の発達は、生まれたときからすでに始まっています。お口の機能は乳児から始まり、体の成長に伴って発達していきます。ここでは、口腔機能の発達不全のチェックポイントと対処法を紹介します。
子どもが食事をしやすくするために知っておきたい6つのポイント
1.乳児が飲みやすい姿勢をとり、飲み方を確認する
授乳は、乳児が飲みやすく授乳者の体にも負担がかからない姿勢を心がけ、乳首を深くくわえているかを確かめる。
2.おいしく食べられる環境を食事の前に心がけること
- 遊びや運動でおなかをすかせておく
- 間食は食事の2〜3時間前までに済ます
- 食事の時間は、なるべくテレビや子どもの気を引くものを遠ざける
3.食事環境
- 座って食べるときのテーブルと椅子を適切な高さに調節する
- テーブルの高さは、座って腕をのせたときに肘が直角に曲がる程度にする
- 椅子の高さは、深く腰掛けたときに膝が直角に曲がり、足がまっすぐに床に向かい、足の裏が床につく高さにする
4.食事の姿勢
- 食べるときの首の角度はうつむき加減にする
- 首が上に向くと、噛んだり、飲み込んだりしにくくなる
- あごを少し引いたうつむき加減のリラックスした姿勢をとる
5.口いっぱいに食べ物を詰め込み、よく噛まないで飲み込んでしまうとき
- 手づかみ食べ」の時期に、バナナや細巻きのおにぎりなどを、一回の量ギリギリで持たせてかじりとらせ、一回量を覚えさせる
- よく噛んで口の中が空っぽになったら、次の一口をかじりとらせる
- 前歯でかぶりつくものや食感が混ざったものを取り入れて、感覚を刺激する
6.食事を楽しむ雰囲気づくり
- 家族で食事をする
- お箸の使い方や器の持ち方など、正しい食事のマナーを伝えながら食事をする
小児期から口腔機能の向上に努めた場合のメリット
- お口の健康によって、十分な栄養補給ができ、全身の健康が保たれます。
- 噛む力がしっかりしているとなんでもおいしく食べられて食事を楽しめます。
- 豊かな表情とはっきりした発音で、歯の病気や口臭の心配もなく、人との付き合いを楽しめます。
- 噛み合わせがよいと、スポーツなどでパフォーマンスの向上が期待できます。
- お口の健康を保つことで、むし歯や歯周病に関連する全身の病気を防げます。
- 万が一むし歯や歯周病などの疾患にかかったとしても歯科治療の難易度を上げずに済みます。
自分の歯で食べることで生活の質を高め、将来の健康長寿につながります!
ライフステージに沿った対応法
ポイントを図2にまとめていますので、ご参照下さい。
※日本小児歯科学会より参照
1. 胎児期
体の栄養摂取や健康状態が胎児の健全な発育にとって大きな影響を及ぼします。「食べる」役割を果たす器官である歯と口腔は母体内ですでに形成されていますので、規則正しく、バランスの取れた食生活を心がけましょう。
また母親の口腔の健康が生まれてくる子の健康に深く関わっていることが分ってきました。そのため、妊婦歯科健診は必ず受診するとともに、妊婦されたら自身の歯と口の健康についても気をつけることが大切です。
2.乳児期および離乳期
母乳は赤ちゃんの病気を防ぎ、赤ちゃんとお母さんのきずなを強くします。また、離乳食や幼児食の「噛む」「のみ込み」などの口の機能発達の基礎にもなります。母乳をできるだけ長く飲ませるようにしましょう。
- 離乳期は離乳食を通して、少しずつ食べ物に親しみながら、食べ物を「口に取り込む」「噛む」「のみ込む」など食べることを学び獲得していきますので、離乳食への移行を適切に進めることが大切です。
- 指を吸ったり、おもちゃをくわえるなどの遊びは、離乳食を食べるための口唇や舌やあごを動かし、食べ物の大きさなどを感じるための準備行動に関係しますので、無理に止めさせないようにしましょう。
- 食べ物のかたさや大きさ(ひとくち量)が変化していく離乳食を、順調に噛んで(咀しゃくする)、のみ込み(嚥下する)が発達していくためには、歯の生え方が影響しますので、歯の生え方を観察して、それに応じた離乳食を進めましょう。
- 離乳食を上手に噛み、のみ込むためには口(くちびる)がしっかり閉じていることが必要です。スプーンなどで介助して食べさせるときもこのことに配慮し、食べさせる姿勢にも注意しましょう。
- 離乳が進んでいくと、赤ちゃんは徐々に手づかみで食べたがります。お母さんとしては手のかかる行動ですが、噛む機能の発達には大切なことですので、十分に手づかみ食べを経験させましょう。
- 味覚が少しずつ発達する時期ですので、ベビーフードのみにたよらず、お母さんが手作りする離乳食によって、食べ物をよく噛むことで味わえる味覚を感じ、さらにいろいろな食べ物を「見る」、「触れる」、「香りを嗅ぐ」ことによって、さまざまな五感を刺激します。このことは乳児期に限らず幼児期にも大切ですので配慮しましょう。
- 歯が生えてくるとともに、むし歯菌の母親からの伝播や、むし歯予防を考えた母乳の与え方や離乳食を工夫していくことも必要になってきます。詳しくは当院歯科医師にご相談ください。
3.幼児期(就学前)
- 離乳完了の目安は、いろいろな条件が関係しますが、噛む機能の発達からは、繊維質や弾力ある食べ物を噛むために、顎(あご)を横に動かしてすりつぶす運動がみられる時期で、一般には乳歯の奥歯が生えてかみ合う1歳6ヵ月ごろが適当です。ただし、歯の生え方には個人差があり、また他の条件も考慮して決まってくることになります。
- すべての乳歯が生えてかみ合う3歳頃は、いろいろな食べ物をしっかり噛んで、上手にのみ込むことが出来るようになります。そこで、ひとくち量をかじりとることや、よく噛むことを自然に引き出すような食べ物の大きさ、かたさ、歯ざわりが体験出来るような食事を考えましょう。
- 3才頃から、「日本的伝統食」の食べ方である箸の正しい使い方、お椀類での食べ方などを教えましょう。
- 幼児期に食べ物の食べ方、例えば「早食い」、「丸のみ」など、また食事の仕方などは、生涯の食習慣に影響します。また、子どもの肥満など心と体の健康にも関係しますので、朝食など食事は、噛みごたえする食べ物を準備し、しっかり噛んでいるかどうか、大人は子どもの食べ方を観察して、必要であれば注意しましょう。
- 食べ物を食べているとき、お茶や汁物など液状のものを飲むことに注意します。食べ物が口の中にある間は、これらを飲むと流し込むことになりますので控えるようにしましょう。また食べ物を噛んでいるときには口もとをしっかり閉じるようにします。
- 食事を急がないようにして、家族、友達などみんなと一緒に楽しく食べ、周囲の大人がよく噛んで食べる姿、食べ方を見せましょう。
- 間食は規則的にして、食事に影響しないような食べ方とします。夜食や寝る前の飲食は習慣になりやすく、肥満などの原因にもなります。また、砂糖を多く含む飲料類を飲むのはむし歯を発生・進行させたりしますので控えるようにし、砂糖が多く含まれるスポーツドリンクを水がわりに飲むことは注意しましょう。
- 生涯を通じた口腔ケアの確立のためにも、歯みがきの習慣をつけ、かかりつけ歯科医師を持つことにより、生涯を通じた歯と口腔の健康づくりを習慣づけまた獲得していきましょう。
4. 学齢期(小学生・中学生)
- この時期は、乳歯が徐々に永久歯に交換して、永久歯列が形成されます。将来の口腔の形態と機能が完成していくこともあり、食育の基本となる歯と口の役割と噛むことの大切さをさらに学習する時期でもあります。
- 低学年頃に上下の第一大臼歯が生えてかみ合うと、食べ物を噛む力やすりつぶす能力が高まりますので、この時期にかたさや弾力のある噛みごたえのある食べ物を噛むことを経験します。また前歯が生えそろう時期は、前歯で食べ物を噛み切りひとくち量を知るためにも、やや大きめに食べ物を切り準備します。
- 前歯の乳歯が永久歯と生え替わる時期は、食べ物をこぼしやすく、また噛む能力も低下します。このようなときは口(くちびる)をしっかり閉じて噛んで(咀嚼)のみ込み(嚥下)ます。そして、食事時間をいつもよりゆったりと取ってあげます。このようなことは奥歯が生え替わる時期にも同様に配慮が必要です。
- 料理に合った食器や食具を体験し、それらの正しい使い方を通して食べ方、食べる姿勢など食事マナーを身につける重要な時期です。家庭や学校給食ではこの点を配慮した環境づくりを周囲の大人が心がけましょう。
- この時期、友人や家族との外食やコンビニ食などを食べる機会が多くなり、味覚などが均一化してきます。幅広い味覚を好み体験することは、とくに地域の伝統食・物産を、豊かにおいしく食べるために大切です。甘味、塩味は乳幼児から大勢に好まれる味ですが、苦味、辛味、渋味などの味は嫌われるなど人による好みに差が生じます。この時期にさまざまな食べ物の料理を通して、よく噛んで唾液を出し、これらの味を味わっておくことは、その後、砂糖など甘味嗜好に偏らない食生活を送るために重要なことです。
- 生活習慣が乱れがちになる時期です。食事が不規則あるいは少食・欠食になりがちで、間食や夜食で食べる割合が高くなり、全体に軟食傾向になります。そこで、間食・夜食・飲み物類などの飲食類は控えめにして、主食をしっかり食べてよく噛むことは、この時期の歯周病や永久歯のむし歯を発生し進行することを予防します。またこの時期は運動不足も加わって、肥満が増え動脈硬化を伴うメタボリックシンドローム予備群がみられる時期でもあり、この点からも規則的な食生活に努め、砂糖を多く含む間食・飲料類や夜食を出来るだけ控えることが大切です。
5. 青年期(高校生)
この時期になると、親知らずを除く永久歯が全て生え揃い、歯列や口腔の機能はすでに完成されています。そのため、将来の生活習慣病の前兆を把握する必要があり、特に歯周病の予防が重要になってきます。児童・生徒期に比べて、自己管理が十分にできている場合とできていない場合との差が如実に現れてきますので、将来の食べるための基礎となる歯と口腔の健康に個人差が生じてくる可能性があります。
具体的な歯科での検査
器具による測定
舌圧測定法
舌圧の測定は、測定器の受圧部(舌圧プローブ)を口蓋部にあてがい、くちびるを閉じ、舌で受圧部を口蓋部に向けて思い切り押しつぶしたときの最大舌圧を測定します。
舌圧は、噛みつぶしたり飲み込んだりするときに食べ物を口の中でかたまりにし、咽頭に送り込むのに強く関係しています。舌圧検査は、口腔機能を定量的に検査する方法のひとつで、保険適用されています。
口唇閉鎖力測定法
口唇閉鎖力は専用の医療機器によって計測します。口唇と舌の機能は関係していて、口唇閉鎖力の低下は鼻呼吸を口呼吸に移行させて口呼吸症候群を招き、正常な口腔やあご顔面の形態や機能の成長、発育を妨げます。その影響は全身に及ぶと考えられます。
食べるときのくちびる・ほお・あご・舌の動きを観察
口腔機能
- 一口量(多い・適量・少ない)
- 食事のペース(速すぎる・適度・遅すぎる)
- くちびるの閉鎖機能(閉じられる・閉じられない)
- 舌の位置(口腔内・口腔外)
- 舌の運動機能(前後・上下・左右に動かす)
- あごの運動(ほとんど動かない・左右対称・左右非対称)手と口の協調関係
- 食べるときの肘の位置(肩より後方・肩と同位置・肩より前方)
- 食べ物が口に入るときの位置(口の両脇・両脇と正面の間・ほぼ正面)
- 食べるときのくちびるの使用(使用する・使用しない)
声を出そうとして音をつくる過程(構音)を観察
構音障害の有無
- 構音時の置換、省略、ゆがみの有無
- 構音障害の種類(歯間化構音、側音化構音、口蓋化構音、鼻咽腔構音)
- 器質性構音障害(口蓋裂などの構音器官の形態や機能の異常、歯列・咬合の異常、舌小帯の異常などに起因)
- 運動性構音障害(発声発語運動を担う神経・筋の異常に起因)
- 聴覚性構音障害(聴覚器官の異常によって起こる二次的構音障害)
- 機能性構音障害(器質的に明らかな問題がないにも関わらず構音に誤りを生じる構音障害)
子供の虫歯
子供の虫歯の原因
子どもの虫歯の多くは、糖分の多い食生活や不十分な歯磨き習慣によって起こります。また、だらだらと飲食を続けることも虫歯のリスクを高める要因です。生えたばかりの乳歯や永久歯はまだ弱く、虫歯になりやすい状態です。
虫歯は親から子供へうつる
虫歯の原因となるミュータンス菌は、保護者などの大人の唾液を通して感染することがあります。スプーンの共有や口移しは避けるようにしましょう。
虫歯になりやすい習慣
- 甘いお菓子やジュースをよく摂る
- 寝る前の歯磨きが習慣になっていない
- 仕上げ磨きが不十分
- 食べる回数が多く、だらだら食べをしている

